クラウドファンディングをはじめご寄附・ご支援いただいた皆様へ
2021年10月 NPO法人ホームケアエクスパーツ協会 理事長酒井 忠昭
私たちが提案し、実践している、在宅療法の新しい地域モデルに対する皆さまのご支援に心から 感謝申し上げます。2020年度1年間と2021年度半年の我々の活動について報告いたします。 新型コロナ感染症により、多くの活動が、縮小、中止に追い込まれましたが、その中で創意、工夫を 重ね活動を続けています。また感染縮小を期待し、本年下期にはニューズレターの発行、講演会の 開催等を目指したいと思います。 なお、本報告では運営の主体である訪問看護ステーションの活動にはふれておりませんが、 2021年1月よりステーション所長に就任した松沼理事と看護スタッフの並々ならぬ尽力により 経営の安定化がみえてきていることを申し添えます。
収入 クラウドファンディングを含む2020年度の寄付金 5,416,400 2021年度半年の寄付金 878,000 コミュニティ音楽療法に対する世田谷区からの助成金(2年分) 728,000 利用者負担分(2020) 187,451 利用者負担分 (2021) 43,000 合計 7,252,851
活動経費 2020 3,200,284 2021 2,012,990 合計 5,213,274
活動ごとの経費 2020 2021 合計 1保険外訪問看護のサポート 107,096 535,955 643,051 2コミュニティ音楽療法 612,591 385,587 998,178 3心理カウンセリング 994,326 434,697 1,429,023 4嚥下予防療法 137,392 58,537 195,929 5医療・生活相談 353,216 176,242 529,458 6クラウドファンディング経費 426,846 0 426,846 7ニューズレター発行費用 104,867 0 104,867 8マッサージセラピー 106,876 0 106,876 9一般経費 357,074 421,972 779,046 合計 3,200,284 2,012,990 5,213,274
1.保険外訪問看護のサポート 2020 2021 合計 107,096 535,955 643,051 当NPOが運営する訪問看護ステーショによる在宅療法支援の大部分は介護保険・ 医療保険を利用して行っています。要支援・要看護の利用者の自宅を看護師・ 理学療法士等が訪問し支援するものです。ただ、残念ながら、保険がカバーできる 在宅サービスは限定的で、私たちは、保険の枠をこえて必要な支援を提供して まいりました。それらのほとんどが無償のサービスですが、 2021年1月より、それらのサービスの費用を数値化し、NPOの支援として認識する ことにしました。(2020年度は3ヵ月、2021年度は6ヵ月の費用です。) 私たちはこれらの活動が自宅療養の高齢者には欠かせないと考えています。 具体的な活動例としては、受診同行、往診同席、傾聴、ケア内容の相談・説明、 退院時の同行などがあげられます。
2.コミュニティ音楽療法 2020 2021 合計 612,591 385,587 998,178 専門家(音楽療法士、ボイストレーナー、看護師,ボランティア)の協力のもとに、 地域の健康の増進と社会的文化的成長を促すことを目標とする活動です。 認知症や失語症の方にも良好な成果をあげています。個人個人の目標を設定した 個別型と、不特定の方が対象の公開型、特定の個人宅を訪問する訪問型が あります。また、一般の方も参加する音楽療法とジャズとの合同コンサートでは 多くの方に音楽療法に対する理解をいただき、支援の輪が広がりました。
2020年 4月~9月 コロナ感染症の下、残念ながら個別型、公開型ともに例会を中止しました。 集会を断念せざるを得ず、代わりに、音楽療法士の丸山ひろ子先生のピアノの 演奏(四季の歌の伴奏)のCDを作成し、これまでの参加者 に送付しました。 在宅で季節を感じ、いつも一緒に歌っている歌を口ずさむことができるように との配慮からですが、皆様の心を繋ぐことができました。 たくさんの反響を、手紙、電話などでいただき、参加者の音楽療法への思いを 知ることが出来ました。 10月以降 会場、人数を含めて、感染症対策を十分とれば、コミュニティ音楽療法の例会も 可能だと確信し再開にふみきりました。当協会は、医療関係であることも考慮し、 以下のような対策をとりました。
・個人のお宅をお借りしていた個別型コミュニティー音楽療法の会場は、会場が 広く、窓を解放できる公共施設に移す。
・人数を10名以下にし、従来からの参加者を考慮して、招待の形にする。
・時間を短縮する。(90分から60分へ)
・茶菓の接待はやめる。
・楽器の使い回しはしない。手拍子、足拍子を多く使う。
・歌はマスクのまま、ハミングで。
10/15コミュニティ音楽療法(公開型)マモリ山テラスにて参加者8名 人数限定、招待の形をとりました。 この日の再開の喜びは忘れることが出来ません。音楽で結びつく関係が こんなに深いものであったか!と実感しました。お元気な姿に再会でき、 季節の音楽、歌が心にしみわたりました。
10/22コミュニティ音楽療法(個別型)マモリ山テラスにて参加者8名 人数限定、招待の形をとりました。
11/12コミュニティ音楽療法(個別型)マモリ山テラスにて参加者10名
12/18コミュニティ音楽療法(訪問型)利用者宅 にて クリスマスコンサートとして実施
2021年
1/14コミュニティ音楽療法(個別型)マモリ山テラスにて参加者6名 新春コンサートとして実施
2/18コミュニティ音楽療法(公開型)マモリ山テラスにて 残念ながら緊急事態宣言を考慮して中止
2/27特別企画絵画と音楽北沢タウンホール参加者13名 ひとりの参加者の30点の素晴らしい絵画に音楽を添えた特別な時間で大成功。 気管切開をうけ車椅子の移動であった当日の主役は高齢になってから アクリル画を始めたとのこと。 音楽を聴きながら絵画を鑑賞する、絵画を鑑賞しながら音楽をきく。 高齢になってから始めたという素晴らしい絵画とのコラボを存分に 楽しみました。
3/18コミュニティ音楽療法(個別型)マモリ山テラスにて参加者6名
3/27特別企画 北沢タウンホール参加者20名 地域の皆様をむかえてコミュニティ音楽療法とジャズの合同コンサート 。一部は丸山ひろ子先生の春をテーマとする様々な曲の演奏会。 二部は菅野邦彦先生の50分に及ぶジャズを中心としたピアノソロ。 車椅子の参加者とその家族を含む20名の参加があった。 一部、二部の合間には参加者の挨拶をいただいた。
その他実現した企画 「しもきたの音楽療法」のDVDを更新し、ホームページに掲載しました。 パーキンソン病患者への訪問音楽療法の面接ができました。 移動が不自由な参加者への送迎支援を行った。 (全額負担が実現できました。)
2021年度
今までは、「比較的少人数の個別型」と、公的施設を利用しての「公開型」の2タイプ でやってきました。いずれも、ボランティアを含め10数名の集まりでした。 本来の音楽療法は、個別対応が理想的と考えていますが、経済的支援の制度が ない現状では利用者様個人の負担となるので、少しでも多くの人へ!と考えた やり方した。 10数年の積み重ねの中で、瓢箪からコマ!と言うのでしょうか?少人数が集まること の素晴らしさ!に気づかされました。 回を重ねるごとに、馴染みとなり、関係が深まり、相互カウンセリングのような関係が 生まれました。音楽療法の中では、揉め事は一度もありませんでした。コロナ禍の ために、そんな世界が遮断されることになったのは、本当に残念で、途方にくれました。 コロナ禍で、集会が出来ないなら、個人療法にシフトしよう!と決心し、 回を重ねることが出来ました。 これは、世田谷区のまちづくり助成金とクラウドファンディングのご寄付のお陰です。 今年度は、 音楽療法士の丸山先生が、「また、皆様と一緒に歌っているつもりで季節の歌の 伴奏CDをつくって下さり、4月に、お届けしました。 「こういう曲を聴くと、ほっこりします」とか、「皆さんと、歌っているつもりで歌っています」 とかメッセージをいただきました。コロナで、この絆が途絶えてしまわないように!との 願いから、2年間で3枚のCDをお送りしました。
(訪問型コミュニティー音楽療法) ・重度障害のためベット上安静生活の60代女性Iさんに、 2回訪問し、来月も心待ちにされています。 ・ 12月には、重介護状態の方2名のクリスマス音楽療法を計画しています。
(もう一つの個別型コミュニティー音楽療法) こちらは会場に来ていただきます。送迎代負担をいたします。個人ですから、対象者の 初期目標を設定することが出来ます。 目標は、「社会参加の第一歩」「難病の受容とリハビリ」「人生の終盤 エンドオブライフケア」 「認知予防 フレイル予防」など。 現在、4名の方が継続して定期的に参加されています。できれば、このまま続ける意義は大きい と感じていますが、コロナが終結したら、元の集会型に戻す予定です。
<合同コンサート企画> コミュニティー音楽療法の理論の中に、「合同コンサートが地域力を高める」と定義されており、年 に1、2回開催してまいりました。 今年度は、9月に、コロナ感染対策として、大ホールでの企画をしましたが、直前に、コロナ拡大の ニュースが入り、中止せざるを得なくなり、結果、無観客コンサートとしました。同時配信は、諸事 情で出来ず、後日、会員でボランティアの笠さんのお力を借りて、ホームページに掲載します。 コロナが終息したら、まず、合同コンサートをやりたい!と考えています。そして、1日 も早く、小グループ月例会の再開が出来ますように!と願っています。
3.心理カウンセリング 2020 2021 合計 994,326 434,697 1,429,023 臨床心理士が中心となって、カウンセリングとディグニティセラピーの二つの分野 で活動しています。 ご希望に応じて、がん・難病・慢性疾患などで訪問看護をご利用の在宅療養中 の方に、ACPを含むカウンセリングと、ディグニティセラピーを、また、ご家族に カウンセリングを、提供しています。
A カウンセリング 在宅療養中の方は、病気への向かい方や今後の人生への思いなどについて、 そして、ご家族は、介護をめぐる問題、家族・親戚や専門職との関係、ご自身の 人生と介護をどのように組み立てるかなどについて、取り組まれています。
B ACP(アドバンス・ケア・プランニング) 今後の変化に備えて、また現状に応じて、利用者ご本人と、ご家族と医療・ケア チームとが、繰り返し話し合い、連携して、本人の意思決定を支援しています。
C ディグニティセラピー ディグニティとは尊厳で、もともとは、終末期の方が自分自身が価値ある存在だ と感じつつ、心の平安をもって人生を送られるために、開発されたセラピーです。 本ステーションでは、多少改変して適用して、もっと早い、体力気力が充分な 時期からも、実施してきました。 これまでの人生の中で、自分がどのようなことを大切にしてきているか、大切な 人たち(家族など)にどのようなことを伝えたいか、などを語っていただきます。 それを一緒に編集して数ページの小冊子を作ります。それは、ご自分の手元で 繰り返し読まれたり、大切な人たちに手渡したり遺したりされています。 それを読むご家族や周囲の方たちにとっても、大切なものとなっています。 また、新しい試みとして、小冊子の編集を、担当スタッフで何度も編集会議を したり、臨床心理士と理学療法士の協働で編集したりしました。
A Bを含むA C 2020年度 4名 1名 2名・2冊 2021年度 3名 1名 1名
4.嚥下予防療法 2020 2021 合計 137,392 58,537 195,929
ご病気の後遺症や衰弱で飲食の飲み込みに障害がおこることがあります。 この障害(誤嚥)は肺炎の原因になり、入院治療が必要になる場合があります。 誤嚥の兆候を早く見つけ肺炎を予防し、入院を避けるために言語聴覚士(ST)が 誤嚥予防の指導、訓練をいたします。2020年実施回数:20 2021年実施回数:10
5.医療・生活相談 2020 2021 合計 353,216 176,242 529,458 日常生活には、自分一人では解決に戸惑う問題があると思います。病気の悩み、 治療法の選択、療養の場の選択、ご家族との関係、将来の心配など、 いろいろな事柄や思いが重なって、解きにくいパズルのようでしょう。でも誰に 相談してよいかわからない。個人的なことはとても相談する気にはなれない、 ともお考えでしょう。問題解決の糸口でも見つかれば、どんなにすっきりするかと 思いつつ、言い出しかねている方が多いのではないでしょうか。 私たちの「医療・生活の総合相談」はこのような皆さまの問題解決のお手伝いを いたします。相続や成年後見などの法律相談も含め、心を尽くして対応し、多くの 不安の解消につなげてまいります。
2020年の相談件数:15件
2021年の相談件数:3件
相談内容の例 透析についてのセカンドオピニオンの提供 父の世話をしてきた貢献は相続で認められないのか ご家族のうつ病について、信頼できる精神科の医師を紹介、診療を受けた例 ご家族の抗がん剤治療に対するセカンドオピニオンの提供.
.
私はエクスパーツ協会にたいした貢献をしているわけではありませんが、いつもニュースレターをお送りいただき、目を通すのが楽しみになってきました。酒井理事長がかねておっしゃるように、このニュースレターが一つの広場になってきているように感じられます。どれも穏やかで人生の知恵に満ちた投稿が寄り合って、ひとつの雰囲気というかカルチャーを作り出しているようです。ますますこれが発展することを期待します。
どなたかが2021年12月号に田園都市線の宮前平辺りの開発時代のことを書いておられます。当時の建設作業に携わった人が山形県からの出稼ぎだった縁でいまも宮前平と山形の間に交流が続いていることを知り、自分も50年ほど前、宮前平で暮らしていたので興味深く読みました。その後、宮前平から何駅か先の横浜市に住んで40年ほどになりますが、この辺りも電車が開通するにあたって土地の収用をめぐり先住の農民とのあいだにもめごとがあり、警察が呼ばれたという話があります。そして地方からの建設労働者もいたのだろうと思います。東京のベッドタウンとして開発され発展してきたこの地域には、過去そのようなつながりが地方との間にあったということは、ふだんほとんど念頭にはありませんが、興味深いことです。