アロマセラピー

 アロマセラピーは、植物から抽出された天然精油の芳香成分が持つ薬理作用を利用し、人間の本来持つ自然治癒力を高め、心身の健康を図る療法で、補完・代替療法の一つとして位置づけられています。医療従事者が行うアロマセラピーは、むくみ、痛み、筋緊張、便秘などの症状の緩和、リラックス効果や快適さをもたらすことを目的としています。

 

アロマセラピーの活動を通して感じたこと 

看護師 国際アロマセラピスト連盟認定セラピスト 清水直子

現在、訪問看護や病院、NPOの活動の中で患者さんや利用者の方にアロママッサージを行っています。対象とさせていただいているのは、がんの終末期の方やリハビリ中の方、慢性疾患をお持ちの方や認知症の方、寝たきりの方などが中心です。高齢の方も多く、「アロママッサージ」自体初めてという方も多いですが、「気持ちよかった」「またやってほしい」と多くの方に喜んで いただいています。

普通に生活する私達もそうですが、特に病気で入院されていたり、療養中の方々は様々な身体的・精神的な苦痛やストレスを抱えていらっしゃいます。患者さんの身体のつらい部分をマッサージしたり、精油の効果やマッサージの刺激(ぬくもりや気持ちよさ)で精神面にアプローチすることで、少しでも苦痛やつらさが楽になっていただければ…そんな思いでアロママッサージをさせていただいています。

訪問看護でアロマを行っていた方のことをご紹介させていただきます。サテライトで訪問している70代の男性の方で、多発性硬化症のため数年前からベッド上の生活でした。特に下肢の関節を少しでも動かすと激痛が走るとのことで、訪問開始当初は少しでも下肢に触れると、「やめろー!保健所に通報するぞ!」などとおっしゃり、褥瘡の処置もなかなかさせていただくことができませんでした。寝たきりの生活で関節の痛みやストレス、苦痛も多かったのだと思います。皮膚のケアとして、オイルを下肢に塗布しながら角質のケアをさせていただくようになり、下肢に触れても大声を出されることは徐々になくなっていきました。その後は下肢や右上肢の浮腫を軽減するためにアロママッサージを行っていましたが、マッサージ中は「あー気持ちいいなぁ。ずっとやっていてほしいよ。」といつも楽しんでくださっていました。

やっと関係が築けてきて私自身も訪問を楽しみにしていたのですが、残念ながら、昨年暮れに胆管癌のためお亡くなりになりました。アロマを通して様々な学びや気づきを私に与えてくださり、深く感謝しています。学ばせていただいたことをこれからのケアや施術につなげていけるように、努力していきたいと思います。