福祉とNPO活動

私たちは、現在の社会で福祉(ウェルフェア)をいかに考えたらよいでしょうか。前提は経済成長が終焉に直面し、資源が枯渇に向かい、環境が劣化しつつあるという困難な社会的状況です。これまでは、国家福祉といわれるように、福祉は公的に賄われると考えられていました。しかし、福祉に向けられる国の予算が削減されるなかで、福祉の価値は個人的な判断に依存するという本質があり、また、ケアがその典型であるように、ひとと人との関係に根ざすものであることを思うとき、制度に頼るばかりでなく、自助、互助(近年、「新しい公共」といわれることもある)により、自分たちの手で達成することに意味があると考えました。今後、福祉は社会福祉、地域福祉が主役になってゆくべきでしょう。

 

福祉を担う組織は地域を基盤とし、行政組織、地域組織、その他関係機関と密に連携を取りながら活動を遂行する必要があります。目的を共有し、情報を交換し、物心両面で相互に力を得ながら進めるために、私たちは特定非営利活動法人(NPO)が適切な活動の足場と判断しました。福祉を実施するには資金の裏付けも必要です。そこには公的な給付ばかりでなく、活動に賛同する方々からの寄付や自ら負担することも含まれるでしょう。そして事業の運営やサービスの提供は、現場の事情に精通したNPOが主導あるいは調整して行います。

 

これまで高齢者の福祉については、セーフティネットを整えることに主眼がおかれてきました。つまり病気になれば医療保険、障害がでれば介護保険、困窮すれば生活保護といったネガティブな状態からの回復を考えてきました。しかし、ウェルフェアとはもともと経済的な概念ではなく、満足すべき生活状態を表す心理的な概念です。経済的ベネフィットだけでなく、心理的なベネフィットを増進することがウェルフェアにとって有効な場合が多いと思います。つまり身体的な回復とは異なるポジティブウェルフェアの考え方です。私たちはこの点に注目し、医療・介護保険では賄えない、さまざまなサービスを提供し、豊かな晩年の実現を支援したいと考えます。

 

以上のような趣旨で特定非営利活動法人(NPO)を設立し、活動をしてまいりました。今後の具体的な企画は、その都度ご連絡いたします。ご理解いただき、ご協力、ご支援をいただきたいと思います。

 

2013年8月

特定非営利活動法人ホームケアエクスパーツ協会

理事長 酒井忠昭